岩泉一の負い目の話
岩泉一は、及川徹の横に立つのが自分であることに多少なりとも負い目を持っています。それが意識下か無意識下かまでは判らないですしそれを限定しようとも思いません。
岩泉一は、「及川徹が自分を相棒視するのはあの時影山飛雄に対する及川徹を止めたのが自分であったから」だと思っています。
「6人で強い方が強い」という真理を彼に提示したのが自分だったから。
それは裏を返すと、それさえ言えたなら岩泉一でなくても良かった、岩泉一本人である必要は無かったということです。
少なくとも岩泉一はそう思っている。
及川徹にとっても"暴走する自分をとめてくれたこと"、"悩み壁にぶつかる自分に一つの答えを明示してくれたこと"は確かであり、そこを理由にすることはなんら不自然なことではありません。
及川徹は現状、作中No. 1セッターであり、及川徹と青葉城西というチームは全国大会に進んでも通用する実力があると明言されています。
対して岩泉一は、「レベルは高いのに及川徹のせいで目立たない」とされる選手です。それは岩泉一がエースとしてウシワカや木兎さんなど第一線をはる選手と比べると一つ格が下がるということです。例えば、岩泉一がウシワカほどの実力を持ったエースであったなら、青葉城西の中で「及川徹のせいで目立たない」とは言われず「及川徹と二枚看板」という評価になったはずです。
そこが岩泉一の中では少なからずひっかかっています。
ウシワカが及川徹のことを欲しがっているから余計に。
及川徹とウシワカが組めば県大会を突破し全国大会でいいところまで戦っていくことが出来るのは想像に難くありません。
ここからが言いたいことです。
本当に及川徹にとって岩泉一が特別なのは本当にあの日(60話)のことだけが理由なのでしょうか。
そんな訳ないんですよね。そんな訳ないんですよ。
あの日の及川徹は思い悩んでいて、チームメイトから「見てるこっちがしんどいくらい」と表現されています。それを発言したのは岩泉一ではありません。あの日の及川徹は誰の目にも明らかに調子が悪かったです。それでも及川徹の様子を見にわざわざ戻ったのは岩泉一だけでした。
岩泉一には幼馴染として、及川徹と共有した時間があります。だから及川徹の調子が悪いことが悪影響を及ぼしているのがプレー面よりも精神面なことが判っていました。
あの日、誰の目から見ても明らかに調子を崩していた及川徹の様子を、見にいくことが出来る距離感にいたのは岩泉一だけだったんですよね。
ここまでは結構前から書いてあったんだけどここから先進まないし上手く文章化出来ないしつら~~~い!!!誰か上手に文章化してくれ~~~!!描き始めたの210日前だってよ〜〜〜!!!うえ〜〜〜!!
岩泉一は「あの出来事だけで及川徹は雛鳥が親鳥を認識するように自分を信頼している/それは最早盲信に近い」と思ってんだけど、実際はそんなことは無くて及川徹と岩泉一の間にはあの二人だから築き得た無二の信頼関係があるんだよ~~!!それはむしろ明確なきっかけなんてものはなくて時間と経験とが作り上げたものなんだよ…それを岩泉一は自信の無さゆえに理解しきらない…ような…気がする…。
とはいえ、岩泉一は及川徹が選んだ唯一無二の相棒なので、そんなところで躓いたりはしないんですけど。岩泉一の精神性は人間のソレではないので自信の無さというよりは客観的な認識って感覚が強い気がします。
“岩泉一”はエースとしては全国一線級に一歩劣る。そんな自分を相棒と確信しているのはあの出来事ゆえだろう。みたいな。
それを頭で理解していたとしても、岩泉一は及川徹の相棒という座を誰かに譲ったりはしないんですけど。
あの二人、最後には最高の形で別れるんですけど、岩泉一は“あの時”及川徹を縛ったので、岩泉一はこれからも続いていく及川徹の人生の中で、唯一無二にして最後の相棒という椅子に座り続けるんですよ。隣にはもう居なくても。
あの二人はそういうものなんです。